2023年のアーカイブ
京都西山地学ハイキングの報告(2023年11月29日) |
地学研修会『武庫川かわらの石観察会』の報告(2023年11月14日) |
SEMの近況報告(2023年11月1日 ) |
『石ふしぎ大発見展2023・第35回京都ミネラルショー』(2023年10月7〜9日 ) |
『富士火山地学巡検』の報告 (1日目 9月16日) |
『富士火山地学巡検』の報告 (2日目 9月17日) |
『富士火山地学巡検』の報告 (3日目 9月18日) |
SEM-EDXの近況(2023年5月23日) |
地学研修会 『和歌山県広川町・湯浅町方面へ観察会』の報告(2023年4月9日) |
研究室のリニューアル + SEM-EDXの近況(2023年3月2日) |
県の鉱物(2023年1月9日) |
2023年11月29日
京都西山地学ハイキングの報告
2023年11月26日(日)に,野外観察会『京都西山地学ハイキング』を実施いたしました.京都西山ハイキングは,今年3月に行う予定だったところ雨のために中止になってしまったイベントでした.リベンジの意味合いもありましたが,今回はいい天気に恵まれて無事に開催することができました.今回のイベントは11月9日より会員の申込みを開始しましたが早々に定員が埋まってしまったため,参加できなかった方がおられましたこと,まずはお詫び申し上げます.
今回の採取する物は,石灰岩礫岩中のフズリナ化石等です.10時10分ごろに阪急バス『灰方』バス停に集合し高田ミュージアムにてお手洗いを借りた後に,採取場所に向けて出発しました.
2023年11月14日
地学研修会『武庫川かわらの石観察会』の報告
14:00頃までかわらの石を採取した後は再び公民館に戻り,今度は「兵庫県立人と自然の博物館」の元研究員で現在は「まちなか石ころ研究会」で活躍なさっている古谷先生の講習を聞きました.古谷先生には,武庫川のかわらの石やチャート及び放散虫について教えていただきました.
古谷先生にご講演いただいた後は,参加者各自が拾ってきた石についてラベルを書きました.新聞紙の上に拾ってきた石を並べ,時には指導員の先生に聞きながら,石に付けるラベルを作成しました.
その後,15:30分頃に公民会で解散.今回の観察会はこれまでとは異なり,かわらの石を観察する前後に公民館にて勉強会を開催しました.公民館を使用する都合上,参加費をいただく必要が出てきましたが,それでも充実したイベントになったと思います.
2023年11月1日
SEMの近況報告
5月23日の「研究員のつぶやき」で、走査型電子顕微鏡(SEM)の課題を4つ書きましたが、そのうちの2つ
- 益富地学会館では炭素蒸着することができない
- 益富地学会館では鏡面研磨することができない
について解決することができました.
これにより,益富地学会館内で一通り観察・分析することが可能になりましたので,本日11月1日よりSEMによる観察及びエネルギー分散型X線検出器(EDX)による化学組成分析の依頼を開始したいと思います.
1についてですが,岩石など導電性のない試料に電子線を当てると電子は逃げることができずに試料に帯電してしまい,観察や分析がまともにできなくなります.SEM観察する際は帯電しないための工夫が必要なのですが,その手段の一つが炭素蒸着です.導電性のある炭素の薄い膜を張ることにより試料から電子を逃がすことができるようになります.
2についてですが,試料に凹凸がある場合はSEM-EDXによる化学組成分析の定量性は悪くなります.また後方散乱電子像の輝度と鉱物の化学組成は対応するため,後方散乱電子像の輝度から鉱物種を推定することができるのですが,試料に凹凸がある場合はそれも難しくなります.鏡面研磨することにより,それらの問題を解決することができるようになります.
2023年10月7〜9日
『石ふしぎ大発見展2023・第35回京都ミネラルショー』
『石ふしぎ大発見展2023・第35回京都ミネラルショー』は,2023年10月7日(土)~10月9日(月・祝)の3日間,京都市勧業館「みやこめっせ」において開催され,無事終了することができました.この催しにご協力をいただいた,全国・海外からの出展業者の方々,様々なご協力を賜った関係者の皆様,またたくさんの来場者の皆様に厚くお礼申し上げます.
今回は第1展示場(地下1階),第2展示場(1階),と昨年よりもさらに会場を増やし大いに賑わいました.入場についてはご来場者にチケット(1日券700円,3日券1,000円,中学生以下は無料)を事前に購入していただきました.昨年秋の京都ショーでは鉱物に興味を持ち始めた方のための『講習会』のみ,春の大阪ショーでは『講演会』のみを行いましたが,今回は『講演会』と『講習会』の両方を行いました.また『イベント』『特別展示』と『鉱物・岩石無料鑑定会』は昨年同様に開催することができました.
案内パンフレットと共に入場者全員に,美しい鉱物などがプリントされたショッピングバックがプレゼントされました.また美しい鉱物写真がプリントされた『文庫型メモ』も入場チケットと引き換えに,地下1階の第1展示場にて配布されました.
案内パンフレットと共に入場者全員に,美しい鉱物などがプリントされたショッピングバックがプレゼントされました.また美しい鉱物写真がプリントされた『文庫型メモ』も入場チケットと引き換えに,地下1階の第1展示場にて配布されました.
2023年9月16日
『富士火山地学巡検』の報告 (1日目)
2023年9月16日(土)~18日(月祝)に,『富士火山違地学巡検』を実施いたしました.今回は3年ぶりの泊りがけのイベントでした。季節柄、台風や雨が心配でしたが幸いなことに3日間とも晴れ予報だったため,あらかじめ予定していた行程で進めることができました.静岡県新富士駅富士山口に10時30分に集合し,あらかじめチャーターしていたバスに乗りました.
今回の巡検は静岡県富士宮市にある奇石博物館の北垣俊明先生に案内していただきました.
1日目 富士山の湧水
この日は奇石博物館の北垣先生と森井先生のご協力のもと,富士宮市にある「富士山の湧水」をテーマとして巡検をしました.まずは巡検の解説を聞くために奇石博物館に向かいました.
奇石博物館は設立に益富壽之助先生もかかわったという事で,益富地学会館とは姉妹のような関係にある博物館です.まずは萩原館長より奇石博物館や益富壽之助先生との関りなどお話しいただいた後,博物館の見学をさせていただきました.
博物館では最初に,「讃岐石」「コンニャク石」「テレビ石」についての面白い解説をしていただいた後に,展示の見学をしました.科学的な目線のみではなく石の名前や文学的側面などの様々なテーマに沿って展示されていました.じっくりと見学する時間を取れなかったことが残念でしたが,参加者全員それぞれの好みに沿った展示に夢中になっていました.
博物館見学の後はお昼ご飯を食べながら,北垣先生に3日間の巡検に関する事前学習会をしていただきました.
この後,バスに乗って養鱒漁業組合直営の釣り堀場の上流の湧水まで行き,猪之頭溶岩を採取.薄暗いため見えにくかったのですが明るいところで見るとカンラン石が良く見える溶岩でした.その後にもう一度奇石博物館にて勉強会をしたのですが,そこでは北垣先生より奇石博物館の近くに分布する安母山溶岩をいただきました.
1日目はこれで終了,ホテルに行って皆それぞれに疲れをいやしました.
2023年9月17日
『富士火山地学巡検』の報告 (2日目)
2日目,朝7時より皆で朝食を食べて7時50分にホテルを出発.コンビニでその日の水分や食料を買いつつ,まずは奇石博物館に向かいました.
2日目 宝永山(富士山6合目、江戸時代の噴火の痕跡)
要所ごとに北垣先生より富士山の転石の種類,特徴,それらと噴火イベントの関係などを説明していただっきながら,一行は宝永第一火口へと向かいました.同行していただいた石川先生は植物のスペシャリストで,この日は岩石の他に植物についても色々とお話を聞かせていただきました.宝永山に向かう途中で「雷か?」と思えるような轟音が響き渡ったため「宝永山行きは中止か?」と頭をよぎりましたが,この音は陸上自衛隊の御殿場の演習場からのものとわかり安心しました.6合目の「雲海荘」からしばらく歩くと,宝永山及び宝永山の火口が見え始めました.
宝永第一火口へと下り,北垣先生に紡錘状,リボン状,パン皮状の火山弾について説明していただいた後に,宝永山や火口列,火山弾を観察しつつお昼ご飯を食べました.
2023年9月18日
『富士火山地学巡検』の報告 (3日目)
3日目も昨日同様に朝7時より皆で朝食を食べて7時50分にホテルを出発.コンビニでその日の水分や食料を買いつつ,まずは奇石博物館に向かいました.この日は時間の都合もあり,奇石博物館ではトイレのみをお借りしました.この日も北垣先生と石川先生のご協力のもと,山梨県の鳴沢村への巡検に行きました.
3日目 氷山火口列(鳴沢村、平安時代の噴火の痕跡)
続いては本日のメインイベントである氷穴火口列が観察できるポイントへと出発しました.バスでふじてんスノーリゾートの入り口まで移動した後に舗装された道を歩きました.途中で天神山が噴火した際のスコリアが観察できるポイントで説明を受けつつスコリアを採取しました.
さらに舗装された道を進んだのち,富士スバルラインへと続く林道(所要時間は342分)に入っていきました.林道入ってすぐの場所には長尾山が噴火した際のスコリアが観察できるポイントがあり,そこでも説明を受けつつスコリアを採取しました.
林道をさらに奥に進んだ先には,お待ちかねの氷穴火口列がありました.火口列とは溶岩トンネル関連のイベントでできた穴が直線状に並んだものなのですが,それが一目で理解できるような地形でした.穴のでき方には2種類あり,火口の噴出によりできる場合とトンネルの天井の落下でできる場合があるそうですが,周囲に噴出物があるかどうかで形成過程が判断できるそうです.
山梨県鳴沢村を離れて一行は奇石博物館へ移動.そこでトイレ休憩をはさんで北垣先生,石川先生とお別れした後に新富士駅へと向かいました.3連休という事もあり道が混むことが予想されましたが,幸い渋滞に引っかかることもなく無事に新富士へと到着.充実した地学巡検となりました.
2023年5月23日
SEM-EDXの近況報告
SEM-EDXに関する近況報告をしたいと思います。
SEM-EDX(HITACHI S-3000H)について3月中旬よりトラブルで使用することができない状態にありましたが、本日ようやくトラブルが解消して使用できる状態になりました。
しかし依然、下記4つの課題を抱えています。
- 益富地学会館では炭素蒸着することができない
→ 近日できるようになる予定です。
- SEM制御用PCの関係で、撮影した画像データを他に移すことができないです
→ 画像データ少量づつなら可能ですが、多量の画像ファイルを移すことは今後もできない可能性が高いです。
- 益富地学会館では鏡面研磨することができない
→ 近日中にできるようになる予定です。
- 標準試料の用意ができていない
→ まだ準備に時間がかかると思います。
2023年4月9日
地学研修会 『和歌山県広川町・湯浅町方面へ観察会』の報告
2023年4月8日(土)に,地学研修会『和歌山県広川町・湯浅町方面へ観察会』を実施いたしました.今回は久しぶりにバスをチャーターしてのイベントでした。
前日まで雨が降っていましたが,この日は降水確率が低く無事に実施することができました.
京都駅八条口アバンティー前《団体バス乗り場》に7時50分に集合し,和歌山へと出発しました.
今回は和歌山県立自然博物館学芸員の小原正顕先生にご指導いただきました.小原先生は古生物の専門家で,和歌山県の地質や古生物について詳しい方です.
お昼12:00頃に有田郡広川町和田に到着(4/21日追記 採集地は「広川町和田」ではなく「広川町山本」でした),少し急な階段を下りて海岸へと降りて化石の採集地に到着.まずは小原先生に湯浅層で採取できる化石を教えていただきました.
ここでは主に貝化石が採集可能なのですが,湯浅層としては恐竜の歯の化石が出土するそうです.
お昼ご飯を食べつつ化石の採集,さすがに恐竜の化石は見つかりませんでしたが,2時間弱の採集時間の中でほとんどの参加者の方が貝化石を見つけることができました.
海岸を出発した後にトイレ休憩.湯浅町は醬油や金山寺味噌でも有名であるため,休憩場所のお土産屋さんで醤油・味噌・ミカンなどを買う人が続出.レジに行列ができるような状態になってしまったのもいい思い出かと思います.
帰りのバスは,さすがに疲れているために寝ている人も多かったですが,19:00前に無事京都駅に到着.
充実した採集会となりました.
2023年3月2日
研究室のリニューアル + SEM-EDXの近況
研究室の床の張替えに伴い、机などを新しくしました。
明るい色になり明るく見えます。
床の張替えに伴い机や棚の整理に時間が取られてしまい、なかなか他の業務が進みませんでしたが、ようやく時間が取れるのではないかと思っています。
またついでといっては何ですが、この場でSEM-EDXに関する近況報告もしたいと思います。
益富地学会館はSEM-EDX(HITACHI S-3000H)について、現在以下の4つの課題を抱えています。
・ 益富地学会館では炭素蒸着することができない
・ SEM制御用PCの関係で、撮影した画像データを他に移すことができないです
・ 益富地学会館では鏡面研磨することができない
(定量性の良い化学組成分析をしたい場合は、鏡面研磨する必要があります)
・ 標準試料の用意ができていない
なので今現在は益富地学会館の機器のみで定量性を考えた分析はできません。
上記4つの課題にどのように対応するか、今後考えていきます。
ちなみに下記の観察内容であれば可能です。
・ 導電性の良い試料あるいは炭素蒸着した試料の観察(ただし画像データを持ち帰ることはできません)
・ 定量性にこだわらない化学素組成分析
2023年1月9日
県の鉱物 |
年末の会館の大掃除の時、ひょんな事から 「地学研究 第47巻第4号(1999年4月発行)」 に「全国都道府県別『県の鉱物』試案」というタイトルの投稿があることを知りました(著者は岡本鑑吉さんです)。
近年、地質学会により県の石(岩石・鉱物・化石)が選定されましたが、20年ほど前にも似たような試みが地学研究にあったのは驚きです。岡本さんの選んだ県の鉱物と地質学会が選んだ県の鉱物を表にしてまとめてみましたので見比べて楽しんでみてください。
両者の比較に対するコメントは控えさせていただきますが、両者ともに様々なことを思案しながら選定したことが感じられます。
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