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2025年度

2025年6月1日

『木津川のかわらの石観察会』の報告
 2025年5月11日(日)に益富地学会館にて『木津川のかわらの石観察会・事前講習会』を,5月18日(日)に『木津川のかわらの石観察会』を実施いたしました.
5月11日 事前講習会
事前講習会の様子
 事前講習会は午前・午後それぞれ定員が20名で,午前,午後ともに満席でした.
 計90分の講習会の前半30分は大井より木津川に転がっている石(岩石)はどこからやってくるのか,木津川上流の地質図や海洋プレートの沈み込み帯を示した図を用いて説明がありました.続いて藤原より観察地(木津川の川原)で見ることのできる石の種類と特徴について30分ほどの説明があり,残り時間は講習用に用意していた木津川の川原の石を実際に観察しました.
 この講習の中で,5月18日に行くかわらは塊状の花崗岩や片麻状の花崗岩、斑レイ岩等の火成岩、チャートや泥岩・砂岩等の堆積岩及びそれらを元岩とする様々な変成度の変成岩があることを説明しました.また変成岩には菫青石や紅柱石等の斑状変晶が観察できることを学びました.

5月18日 かわらの石観察会
かわらの石を観察する様子
 4日前ぐらいの天気予報では,5月18日の降水確率は90%となっており開催が危ぶまれておりましたが,2日前は一転して10-20%と雨の心配はなくなりました.一方で気温の方は少し暑いぐらいで,熱中症が心配になりました.
 10:30にJR加茂駅西口に集合,100名ほどの方が参加してくださいました.そこから20分ほど移動して木津川のかわらへ.前日に雨が降ってたという事もあり川の流れが速いので近づかないようにすること,熱中症に気を付けること,自分のゴミは自分で持ち帰ること等の注意事項を言った後にかわらの石の観察会の開始です.
 木津川のかわらの石でまず目につく魅力的な石は紅柱石ホルンフェルスです.ほとんどのものは白雲母等に変質しているのですが,運が良ければ紅柱石がまだ残っているものを見つけることができます.
 また菫青石や珪線石を見つけた方や石英脈に由来する石の中に水晶を見つけた方,きれいな眼球状の片麻岩を見つけた方,マンガン鉱床に由来する石を見つけた方もいました.開始時は熱中症を心配していましたが,曇で強い日差しにさらされることもなく,また風が通り心地よい環境の中で観察会を行う事が出来ました.
 13:00になり解散時間となった後もかわらに残って観察を続ける参加者の方もいるなど,皆に満足していただけるような観察会となったと思います.

2025年5月14日

四国地学巡検の報告(その1)
 2025年3月20日(木・祝)~22日(土)の三日間で,愛媛県・徳島県の三波川変成帯の変成岩を目的に地学巡検を実施しました.今まで当館が実施してきた巡検では一つの地質帯だけを目的としたことはなく,今回は特別な企画になりました.
 2024年10月の『石ふしぎ大発見展2024 第36回京都ミネラルショー』で『変成帯と変成岩 -四国の三波川変成帯について-』の特別展示を行った後ということもあり,当初予定していた20名の定員を大きく上回る参加者がありました.そのために,バスを中型から大型に変更し,ホテルも宿泊数を増やすなどの対応をして33名の方に参加していただきました.申込日当日に定員を超えたために抽選に漏れて参加できなかった方にはお詫び申し上げます.
暁雨館の入り口
◇3月20日(木・祝)
 JR岡山駅西口バスプールからリョービツアーズの貸切バスで予定通り10時00分に出発.山陽自動車道,瀬戸中央自動車道(与島PAで休憩),高松自動車道,松山自動車道を通り愛媛県四国中央市土居町へ昼過ぎに到着しました.
ロビーに並べられた関川の標本を手に取って観察
◎『暁雨館(ぎょううかん)』(土居町入野)の見学
 暁雨館(NPO法人 紙のまち図書館)は四国中央市の郷土館として無料で公開されている施設です.ここには常設展示で関川の岩石鉱物が詳しい解説と共に展示されています.建物の外観は地方によくある郷土館的なものが想像されますが,常設展示は地質博物館といってもよい内容になっています.
 入ってすぐのロビーには,関川の代表的な岩石がテーブルに手に取って観察できるよう机に並べられています.参加者はこの後予定している関川で見つかる変成岩類の実物を手に取って観察することができました.

関川のかわら
 暁雨館の見学の後関川のかわらに向かいました.県道128号に架かる海通橋付近には広いかわらが広がっています.2月の最終下見の時には橋の上流にはほとんど水がなかったのですがこの日は水が多かったため,橋の下流側で観察や採集をしました.このかわらでは赤石山系から流れてきた高変成度の変成岩類やカンラン岩・蛇紋岩の存在が特徴です.
 ザクロ石角閃岩はこのかわらの代表的な石の1つで,ザクロ石の大きな結晶とキラキラ輝く角閃石が美しく魅力的な岩石です.
新居浜市瀬場のエクロジャイト
 また,参加者の方の中には,エクロジャイトを目的に採集されている方がありました.このかわらで見つかる以前からエクロジャイトと言われていたものの大部分はザクロ石輝石岩(榴輝岩)でカンラン岩の仲間とされています.組織的にも違いがありエクロジャイトには面構造が見られ,ザクロ石は自形結晶になり易いことが多いようです.
 関川では,赤石愛石会の潮見安生氏らにもご協力していただき,エクロジャイト?の標本などを参加者にいただきました.
 3時間ほどの間にたっぷりと観察や採集を楽しむことができました.

 この日は新居浜市のホテルルートイン新居浜で宿泊しました.
公益財団法人 益富地学会館
〒602-8012
京都市上京区出水通烏丸西入
中出水町394
電話:075-441-3280
FAX:075-441-6897

【開館時間】10:00~16:00
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